純愛ワルツ
「…胡桃?」



そこにいたのは、胡桃。


胡桃は体育座りをして膝に顔を埋めて眠っている。





制服を着たままって事は、カフェから出た後ここに来たってことか。



19時には帰ってたから、4時間くらい1人でずっと待ってたの?




危ない!

こんな可愛い子がこんな所に1人でいるなんて。




ただでさえ夏は変質者が多くなるのに。





部屋の中に運ぼうと胡桃を抱き上げると、胡桃は目を覚ました。




「…あっ、茜くん。バイトお疲れ様でした」


「あぁ。それよりどうした?何でここにいるの?」




玄関の鍵を開けて中に入り、胡桃を床に降ろした。




胡桃は遠慮がちに俺を見つめる。





「今日の茜くん、何だか元気がなかったから…」



それでワザワザ待っててくれたのか?



本当優しいな、胡桃は。





「何かありましたか?」


「…何って程の事じゃないよ。でもありがとう、心配してくれて」




何か飲む?と聞きながら背を向けると、胡桃に服の裾を掴まれた。
< 91 / 144 >

この作品をシェア

pagetop