元気あげます!巴里編
ヴァレリーはひかるに裕文を事務室へ連れて行くように命じました。


事務室で2人になると、裕文はひかるに土下座しました。


「すみません。ごめんなさい・・・。
今回は母親に命じた意地悪とかじゃないんだ。
ほんとに自然に発生してしまったというか、僕自身どうしていいかわからずに飛び出してきてしまって。

経理上ものすごい損失を出したのは僕の会社なんだ。
倒産とか会社更生法の申請をすれば嫌でも目立つだろ。
それで、千裕の会社の中でいちばん経営が難しい福祉法人の経理担当をうちの会社へ僕が移動させた。

それでなんとかいい方法が見つかるかと思ったんだけど・・・損失を調べているうちに社員の着服が複数見つかって、そいつらを逮捕したとしても、どうにもならない状況になって・・・。

それで、千裕がうちの会社の取引先に次々声をかけてくれて、その中で資金協力してくれる会社を見つけたんだ。」


「それなら、裕文様はもどっても大丈夫なんじゃ?」


「だめだ。倒産寸前の会社の社員を引き取る程度じゃないんだ。まるごと資金提供して助けるなんて話、おかしいと思ってたら、その会社のバカ娘を嫁にもらうことが条件だって・・・。
しかも、その女性は僕より1つ年上だし・・・。

それになんかその人・・・やたらベタベタとくっついてくるような濃い女性でね。」




「まさか・・・その人を千裕様に押しつけてきた・・・?」


「まぁ・・・そうなんだけど・・・。」



「ひどいですっ!嫌ならどうして嫌って返事しないんですか?
せめてご自分の意思だけでも、先に電話で言ってあげてくださいよ!

裕文様が何もいわなかったら、千裕様だってどう返事していいかわからずにいますよ。
今朝のあの女の人の言葉・・・・・。」



「何か言われたの?」


「電話の向こうで、今日は寝るまで付き合ってとか・・・聞こえて。」



「えっ、そんなことを・・・。ごめん、すぐ千裕に電話する。」



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