君にハートを盗まれた。
第二章

複雑な想い

先輩に告白して数週間が過ぎた。

その間、クラスの中では、いつの間にかカップルがちらほらできていて。

傷心者のあたしには、辛い光景が広がっていた。


「あぁ…あ。羨ましいな…」

思わず口から出た言葉。自分で言っておきながら「羨ましい」という言葉で落ち込んでしまった。


先輩とは…もちろん何もない。

あの告白の日から、あたしは先輩を廊下で待つことをやめた。


先輩の姿を見るだけで、胸が締め付けられるからだ。


だから、もう先輩の事を嫌いになったかと聞かれたら…。

「なに?まだ嫌いになってないの」


昼休み、教室の窓際の席から校庭を眺めていた。そんなあたしの耳に聞こえてきた美空の呆れまくった声。

「だってさ。すぐにはやっぱり嫌いになれないよ」


そう。一度好きになってしまった人。
簡単に嫌いになる事はできなかった。

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