図書室の恋


図書室前の掲示を見ながら、ドアを開ける。

お勧め本のセッティングをしていた司書さんが
「こんにちは」と私に挨拶をする。

「こんにちは」と、
目線は新着本のほうに向けながら
挨拶を返す。


「あぁ、新着本?」
「はい!気になる本があって…
あぁ、もう借りられてる!」
「どの本?」
「これなんですけど…」

そう言いながら、
プリントを指差すと司書さんは 
あぁ、借りられちゃったねぇ 
と申し訳なさそうにいった。


「そうですか…。ありがとうございます」
「いいえ」


うぅ、
やっぱりうちのクラス、
SHR(ショートホームルーム)終わるの遅いよ…
とまた文句を浮かべつつ、
かばんを置いて
現代小説の「あ行」の作家の所へと向かう。


新着本以外にも、読みたい本があったから。

授業中に内容をふと思い出して、
久々に読みたくなったのだ。



目的の本を見つけて、手を伸ばすと…


「あ」



そして冒頭に戻る。


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