陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
「わからん。ただ、信長のやつは、玲子ではなく、幸姫として認識していた」

政宗の一言に、小十郎は踵を返す。

「直接本人に確認して」

「よい」

小十郎の言葉を、途中で遮った。

「なっ…なぜです!?」

驚いた表情で政宗を見つめ返す。

「少なくとも、幸姫の方は信長のことを知らないようだったからな」

「しかし!!」

納得がいかない、という表情の小十郎に、政宗は面倒くさそうに手をヒラヒラとふった。

「俺がいいと言ってるんだ」

その一言に、小十郎はぐっと言葉を飲み込んだ。

「あぁ、それから」

思い出したように政宗が言う。

「今日は気分がいい。愛姫のところへ行く」

「畏まりまして」

小十郎が小さく頭を下げると、政宗はそのまま部屋を出ていった。


幸姫をこれから戦に行くときには連れて行くならば、今のうちに小十郎達の機嫌もとっておかねばな。


くくっと笑いながら、政宗は廊下の奥へと消えていった。





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