陽のあたる場所で 〜戦国遊戯3〜
ふと、心地よい風が吹いた。

幸姫は、自分の髪を押さえると同時に、相手の右目に視線が釘付けになった。


…目が…!!


その瞬間、男は幸姫の視線の先に気付き、ニヤリと笑った。

「怖いか?」

言われて幸姫はハッと我に返った。

「ごめんなさい、じろじろ見ちゃって」

慌てて視線をそらせようとする幸姫の顔を、グイッと自分の方へと向くよう、男は顎を掴んできた。

「…この眼が怖いか?」

男に言われて、幸姫は少し困った顔をする。

「怖くはないけど…」

「けど?」

男に聞き返されて、幸姫は苦笑しながら答えた。

「気になる、かな」

「………」

何も言わず、ただじっと、男は幸姫を見つめている。

「男の人にこんなこと言うのもどうかとは思うんだけど」

少しもじもじしながら幸姫は続けた。

「その、すごく綺麗な眼をしてるから。だから、もし、その両目で見つめられたら…って、何言ってんだ私!」

途中まで言って、恥ずかしくなってきた。


綺麗だなって思ったけど。
正直、心トキメいてしかたがないけれども!


アワアワと慌てた様子を浮かべる幸姫に、男はくくっと笑った。



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