あの音をもう1度




えっ・・・






「なんだかんだいっても、バルトニアさんは有名な音楽家。

プロの大人と少しかじった高校生。
どっちが得なんて一目瞭然だもんな」



自嘲気味に笑う涼太には虚しさしかなく、逆に悲しさが募っていく。





違う・・・


本当に違う・・・



私は、ただ涼太のお荷物になりたくなくて。


1人でも大丈夫って考えて…






「・・・元気にやれよ」


そう言って涼太は背を向け、歩きだしてしまった。






「待って…!」




だけど、涼太は止まらなくて背中越しに「来るな!」と言われているのがひしひしと伝わった。


< 193 / 255 >

この作品をシェア

pagetop