あの音をもう1度
えっ・・・
「なんだかんだいっても、バルトニアさんは有名な音楽家。
プロの大人と少しかじった高校生。
どっちが得なんて一目瞭然だもんな」
自嘲気味に笑う涼太には虚しさしかなく、逆に悲しさが募っていく。
違う・・・
本当に違う・・・
私は、ただ涼太のお荷物になりたくなくて。
1人でも大丈夫って考えて…
「・・・元気にやれよ」
そう言って涼太は背を向け、歩きだしてしまった。
「待って…!」
だけど、涼太は止まらなくて背中越しに「来るな!」と言われているのがひしひしと伝わった。