飴色蝶 *Ⅰ*
庵先輩・・愛を口にする貴方は
  
とっても素敵だったよ。

私は、家の玄関先で靴も脱がず
にしゃがみこむ。
  
今頃になって両足が震えて来た

私を見つめる、あの鋭く凶暴な
視線を思い出し私の体は震える

私の中に土足で踏み込んで来て
わたしの全てを見透かされた
ような気がした。

雪乃の涙を見ていられなくて
後先考えずに、あんな行動を
取ってしまった私・・・

私は、急に怖くなった。

『イオリが極道でも
 私の、貴方を愛する気持ちは
 変わらない』

わたしの言葉は何て

薄っぺらなの。
 
そんな軽い言葉

貴方の胸に届くはずが無い。

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