飴色蝶 *Ⅰ*
お店のソファーに横になり
朱莉を胸に抱き
  
煙草を吸う庵、煙が天井に
昇っていくのを朱莉は手を
伸ばし掴もうとした。

「イオリが
 あの子に手を出せないの
 分かるような気がする
 
 あの子、とっても
 心が澄み切っていて
 綺麗だもの

『お金は、そんなにたくさん
 無くていい
 ほんの少しでいい・・・』
 
 そう、あの子が言った時
 その通りだなぁって思った

 あんなにお金が欲しくて
 欲しくて堪らなかったけど
 こうして、手に入れてみると
 使えるお金なんてほんの少し
 で、後は、ただ意味も無く
 湯水のように消えて行くだけ
 ・・・虚しいだけ」
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