飴色蝶 *Ⅰ*

来ないで

お客に引き取ってもらい
お店には従業員と私だけがいた

「ママ
 気分は、大丈夫ですか?」

彼女はハンカチで唇を押さえて
従業員の皆に殴られた頬を
悟られないようにした。
    
「大丈夫よ、ありがとう
 今日は、ごめんなさいね
 ちゃんと日当は払うから
 心配しないで」

「そんな事、気にしないで
 ママ、休んでくださいね」

「ありがとう」

静かになった店内に、残るのは
私と彼女の二人だけ。
        
彼女の腫れた頬を氷で冷やし
蹴られて青くなっている部分に
湿布を張って、私は、できる
限りの手当てをする。 

「冷やすのが遅れたから
 顔の腫れは当分
 残るかもしれない」
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