飴色蝶 *Ⅰ*
「兄貴、そろそろ
 若頭イオリの事を
 伏せる事は
 やめにしませんか?

 跡目は、イオリだと世間にも
 分からせる方がいい
 
 最近では、高月組の若頭の
 ポストが開いたままなのは
 内部が結束していない等の
 噂が囁かれてもいます

 それを信じて、伊納組と裏で
 手を結ぶ組もチラホラ」

「分かった、若頭はイオリだと
 話す事を許す

 ハツマに会う必要は無いが
 もしかしたら、勝手に
 お前に会いに来ることも
 考えられる

 イオリ、これからは一人での
 単独行動は許されない

 今までのように、好き勝手は
 するな

 カナメ、イオリの警護を
 しっかり任せたぞ」
    
「はい、分かりました
 任せてください」

要の運転する車に乗車した庵は
携帯電話を見つめた。

菫からの着信は無い。
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