飴色蝶 *Ⅰ*
庵の姿が、どんどん
小さくなって行く。

「運転手さん
 停めてください、お願い」

朱莉はタクシーを降りて
庵の元へと駆けて来て
庵の胸に頬を寄せた。

そして、荒い息をつきながら
告げる。

「イオリ、愛してる
 あなたに逢いたかった」

庵は、強く朱莉を抱きしめた。

「シュリ
 俺の傍にずっといろよ」

彼女は何度も、頷いた。
< 184 / 488 >

この作品をシェア

pagetop