飴色蝶 *Ⅰ*
遅れて事務所に来た庵は
人の多さに驚いている。

「親分、おはようございます」

「おはようございます」
  
庵は、組員達の挨拶に頷いて
答える。

「これは、何の集まりですか?
 新しい執行部は、私が責任を
 持って決めさせて頂きますが
 ・・・」

「その話ではない、ついさっき
 舎弟頭の江崎が襲撃された」

「叔父貴が、それで叔父貴は」

「弾は、右肩を掠めただけの
 掠り傷だが、一緒にいた
 娘さんが流れ弾にあたって
 病院に担ぎ込まれた

 手術は成功したらしいが
 難しい手術だったらしい」
    
「やったのは、仲本組?」

「それはそうだが、やっぱり
 裏で伊納組の連中が糸を
 引いているらしい

 今調べさせているが
 次は、誰が狙われるか」
< 276 / 488 >

この作品をシェア

pagetop