飴色蝶 *Ⅰ*
部屋の一部に、まとめられた鞄

荷物・・・

「はい、どうぞ」
 
「ありがとうございます
 
 あの、どこかに
 お出かけされるんですか?」

「えっ、ああ
 あれは違うのよ
 
 新しい男の部屋へ、今度
 持って行くの」

本当は庵の部屋から、今日
朱莉が持って帰って来た
ばかりの荷物だった。
   
「新しい男?」

彼女は私が着れそうな服
新しい下着を探して
持ってきてくれた。
 
「イオリに振られても
 私には、行く場所は
 たくさんあるのよ
 
 もともと、一人の男じゃ満足
 できないの、私
 
 職業病かしらね、もっと
 いい男が現れるはずなんて
 思っているうちに
 いつも本当の愛を見失うの
 
 まぁ、男はたくさん寄って来る
 から、一人の男にこだわる事も
 無いんだけど」
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