飴色蝶 *Ⅰ*
私は今、やっと

気がついた。

その言葉は、一見
私の事を何も知らない
無知な女だと馬鹿に
しているように取れるが

裏を反せば、純粋で
穢れが無くて
手が出せない。
  
『遊べない女』

出なかったはずの涙が
瞳に溢れ出す。
   
頬を止め処なく

流れていく。

「また
 泣かせちゃった
 
 俺、帰るわ」
 
歩いて行く先輩の腕を
強く掴み

私は、吐き出す。
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