飴色蝶 *Ⅰ*
「なぁ、カナメ
 俺の全てを知れば・・・
 
 アイツは
 俺をどう思うだろう」

「親父?」

「きっと、俺が怖くなる」

菫に何も話さないのは、余計な
心配を彼女にさせたくない
という思いと、もちろん
菫を守るためでもあるが

・・・本当は
 
『今の俺をすみれが知れば
 俺を恐れ、アイツはきっと
 俺から離れて行ってしまう』

「それにしても良かったですね
 
 江崎の兄貴の娘さん
 意識が戻って、順調に回復に
 向かっているようで
 親父も、ひと安心ですね」

「ああ」
 
「俺にも、娘がいるので
 今回の件は、決して
 他人事じゃない
   
 いつ、自分の身に降り注ぐか
 ・・・・・・そう考えると
 正直、怖いです
   
 自分が痛い目見るのは
 構いませんが、家族だけには
 そんな思いさせたくない」
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