飴色蝶 *Ⅰ*

知っていた

口づけを交わした後、庵は
真剣な眼差しで私を見つめた。

「すみれ、シュリの店には
 もう二度と近づくな
 ヤクザなら、あの店が高月組
 の傘下にあることは誰もが
 知っている
 
 今は、伊納組と抗争の最中
 女に手出しはしないとは思う
 が、わざわざ危ない場所へ
 近づくことは無い
   
 それに、ホソヤはきっと
 お前がシュリの店で
 働いていると思っているに
 違いない
 また、お前に逢う為に
 店の前で待ち伏せをしている
 かもしれない
   
 今日みたいな事があれば
 お前も怖いだろう?」

「うん、もう二度と
 あんな思いはしたくないよ」
  
知らない人に触れられた
あの異様な感覚を思い出した
私を、庵は強く抱き寄せた。

不意をつかれた私の唇に

庵は口づけた後

低い声で囁く。

「誰も、お前に触れさせない」
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