飴色蝶 *Ⅰ*
「やっぱり、そうか
 
 また、厄介な男に
 惚れられたもんだな
 
 そいつといい、俺といい」

庵は、私から目を逸らした。

「イオリと彼は、全く違うよ
 
 イオリは、あんな自分本位
 なキスはしない
 
 あんな強引なキス
 
 私は、いらない
   
 貴方の口づけが
 
 私は、欲しい」

瞳を閉じた私の唇に

庵の唇が触れる。
  
彼のキスなど忘れる程の

甘い口づけを貴方はくれた。
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