飴色蝶 *Ⅰ*
「イオリ、今、とっても仕事が
 忙しいから無理だと思う」
   
私と腕を組んだ雪乃は
歩き出す。

「もう、いいじゃない諦めなよ
 ほらっ、ミキちゃん行くよ」

三人で、並んで歩く。

私は、雪乃に連れられるまま
いつもの居酒屋に来ていた。

朱莉さんのお店の近くにある
この場所へ来る事を、私は躊躇
していたけれど、ここは、更紗
と雪乃と私の憩いの場である。
  
飲むと決まれば、やっぱり
ここが一番。

私が、ちゃんと辺りを警戒して
いれば、あんな事は起こらない
だろう。

それに、誰かと一緒に居る私に
彼は近づいたりできないはず
大丈夫。

おいしいご飯を食べながら
お酒を飲み三人は楽しい話を
して、場は盛り上がっていた。

雪乃の部屋で二人が、一緒に
暮らし出した事を聞いた私は
その展開の速さに驚くのだった
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