飴色蝶 *Ⅰ*

言葉はいらない

楽しくて、楽しくて
気がつかなかったの。

雪乃のマンションの近くに車を
停めて彼が、私を待ち続けて
いる事に・・・

私も庵も
全く気づいていなかった。

私が、庵に仕事の話をすると
彼は、私の頭を優しく撫でて
くれた。

「良かったな」

お酒に酔って、目が虚ろな貴方
が微笑む。
 
その微笑に、私は酔いしれる。

「それにしても、スミレちゃん
 本当、酒、強いよね
 全然、酔ってないんじゃ
 ないの?」

結構な、お酒の量を飲んでいる
はずなのに、呂律も回らずに
しっかりと会話しながら

テーブルの上を片づけたり
灰皿の吸殻を捨てたりと動く
菫に幹生が聞いた。

「えっ、さすがに
 もう酔ってるよ」

「酔ってるようには
 見えないって」
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