飴色蝶 *Ⅰ*
庵は、窓を開け、風にあたり
ながら煙草を吸っている。

いざ、こうして二人っきりに
なってみると、緊張で何も
話せない私がいた。
 
庵は、もともと、あまり話す方
ではない。

黙ったままの二人。

静寂に支配されていくこの部屋

今度、庵に逢えば、この事を
話そう
 
そして、あの事を聞いてみよう

そう、思っていたはずなのに。

いったい、何を話せば
いいんだろう・・・

何か話さなきゃいけないと
思えば思う程、私の頭は
パニックになり、余計に
何も話せなくなる。

その時、ドアをノックする音が
したかと思うとすぐ雪乃の声が
外から聞こえてきた。

「スミレ、お風呂使っていいよ
 脱衣所にタオルと、私物
 だけど洗濯済みのスウェット
 上下を置いてあるから
 イオリさんと、それパジャマ
 代わりに使って・・・・・」
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