前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―

07. サバイバル準備期(その2)




□ ■ □



【学食堂にて】


きたるべき昼休み。

結局勿体無い精神がいかんなく発揮された俺がおずおずと四限目の授業に遅れて飛び入り参加をし、「豊福何していたんだ?」と教師に軽く怒られ、若干気まずい思いを噛み締めたことはさておき。


更に昼休みになったと同時に着替えに男子便所に駆け込んだせいで、五分ほど二階堂先輩のいる二年のフロアに行けず。


更に更に支度を整えて先輩のところに行っても二年何組か知らないから、一つひとつ教室を覗いて先輩を捜していたために時間ロスをしてしまい、待ち人になっていた先輩に理不尽なお小言を食らったこともさておいて。


俺は恋敵ともいうべき許婚さんと、学食堂でメシを取っていた。

鈴理先輩にはLINEで、今日は一緒にご飯は食べることができませんと言っておいたけど……返信が無い。


大丈夫かな。

唐突だったから怒っているかも。


最悪、仕置きがっ、想像するだけでドッと冷汗である。


どうしようこれを機に泊りの夜、あ~れ~なことになったら。

くそう、問題は山積みになっていく一方だ……けど、今は目前のフリーズ化しているお方の解凍が先決だよな。


「二階堂先輩。心中察しますけど、俺の弁当はいつもこんなんですんで、気にしないで下さいね」


この学校に入学して何度目だろう、俺の弁当にフリーズ化する生徒って。


「いや、だって、テメ……キャベツが弁当に詰まっているって。キャベツだけかよっ」

「いえいえ。ほら、キャベツを捲ると人参やら大根やらごぼうやら、野菜スティックが顔を出すんっすよ。今日は野菜弁当っす」 


野菜のみ弁当だけど。


そりゃあ、二階堂先輩の日替わり定食Aと比べれば、貧相に見えるかもしれないけど、俺にとってはちゃーんとした昼飯だぞ。


今日はなんと、野菜だけでなく、ゆで卵付きだしな。


母さんったら、お塩までご丁寧に付けてくれちゃって……奮発してくれているよな。


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