前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―
いやでも身近に男ポジションに憧れた方が恋愛ドラマとやらを見過ぎて、あれやらこれやら手を尽くして俺に襲い掛かってくるのですが。
初対面の日だって、此処学食堂でちゅーをしちゃったんだぞ。
次いで、「えっちをするぞ!」とか言われたんだぞ。
翌日からガチの貞操の危機を迎える羽目に。
しかめっ面を作る俺に、
「鈴理は例外だ」
ありゃ絵に描いたような典型的に肉食系女子だと大雅先輩は苦笑する。
ですよねぇ、鈴理先輩の攻めモードはまさしく絵に描いたようなキャラっすもん。
「まあ、それでも怖じがないとは言えないと思うがな。相手に触れるって、やっぱ怖いと思うぞ。俺だって初めての時は内心ビビッてたしな」
てことは、経験が……この金持ち畜生。
鈴理先輩という許婚がいながら、ナニしているんですか。
その彼女の彼氏が言うのもなんっすけど。
「鈴理が執拗にお前に触れたがるのは、お前がそんだけ好きってことだ。触れて、触れて、ふれて、もっとお前を知りたいんだろうぜ。
どんな一面も知っておきたいっつー我が儘を抱いているんだろうな。
あいつは熱しやすく冷め難いタイプだから、一回恋に落ちたらそう簡単には諦めないぞ。
猪突猛進の性格だから、ガンガンいこうぜで攻めまくる奴だ。
鈴理がお前に執着心を抱いている理由がイマイチ見えんが、多分あいつの中で“お前じゃなきゃ駄目だ”って理由があるんだろうな。
あいつは雄々しくても意外と孤独を抱いている。
お前に触れて触れてふれて、その孤独を拭おうとしているのかもしれない。
よく言うだろ?
人間は独りになると、愛情を求めちまうって。大好きなお前にガオーッすることで、孤独を霧散しようとしているのかもしれない。
同時にお前の心が欲しいんだろうな。
半分以上は、好きな奴を『鳴かせたい・苛めたい・ヤッちまいたい』って自分の欲求で動いているんだろうけどよ。
片隅で孤独を拭おうとしている。少なくとも俺にはそう思える」
「鈴理先輩が、孤独?」
「ああ、あいつは孤独なんだよ」