前略、肉食お嬢様―ヒロインな俺はお嬢様のカノジョ―

08. 血の繋がらない家族に告ぐ




□ ■ □



―――小5だったか小6だったか、俺はあることを知り、超驚いたことがある。



何を知って驚いたか?

子供を育て上げるその費用の大きさの額についてだ。


どこから情報を仕入れたかは憶えていないけど、大体ひとり子供を育て上げるのに約三千万円だろうな。


習い事を習わせたり、私立、公立に行かせたりすることで個々人の額に差は出てくるけど一般常識的に掛かる養育費は約三千万円だそうだ。


驚きの金額だよな。

車は普通に買える金額だ。

一軒家なんかも買えちゃうよな?


こうした情報を知ると、改めて子供を育てるのって大変なんだと思う。


俺の両親もすっげぇ大変だったんだろうな。


血の繋がっていない、いや若干繋がっている子供(父さんにとって甥っ子に当たる俺)を引き取ったことやお金の工面は勿論だけど、メンタル面でも相当苦労したに違いない。


だって入院している間はずっと実親に会いたいって泣いていたし、退院しても実親が迎えに来てくれるのをいつまでも待っていた。


大好きな叔父叔母の優しさは知っていたし、分かってもいたけど、彼等が親だとはなかなか受け入れられなかった。


突っ返す度胸もなかったけど、優しくしてくれる彼等に「ありがとう」の一言も言えなかった。


最初の方は面倒な子供だったと思う。

二人だって当時はとても若い。

引き取った年齢は二十代前半だった。


自分達の自由な時間だって欲しかったはずなのに、父さんも母さんも俺を息子だといつも言ってくれた。


俺が親だと認めていなかったあの頃から、ずっと息子だと受け入れ、認めてくれていたんだ。


両親を喪って寂しがらないように、いつも傍にいてくれて、名前を呼んで、甘やかしてくれた。


俺はそんな彼等に何を返せるんだろう? 何ができるんだろう? 何してやることが親孝行なんだろう?


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