恋愛感情
「廊下ってさ…案外長いんだね?」
私はそう思った。
そしてそう口にした。

今まで普通の長さだと思って歩いていた廊下が、
なぜか…
よく見ているからだろうか?
長く見える。

そして、広くも見える。

「だな。」
拓はそういった。
きっと拓もおんなじことを考えてるに違いない。

私たちは何かしゃべることもなく…
気づいたことを語り合うわけでもなく…
ただひたすらに…
廊下を歩き続けた。

きっと…
私たちは気が付いていたのだ。

わざわざ気がついたことをしゃべらなくとも…
お互い気が付いている。

だからしゃべらなくていい。
しゃべらなくても大丈夫。

だからただこの時を…
静かに…
大事に歩こう…

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