不良ちっくLover


「…………」

リュウ君の目が至近距離で私をとらえる。

ドキン…
ドキン… …

ドキドキ ドキドキ…


すぐ近くで顔を見てたから、今でも彼の顔は目の前にある。

適当に言い訳して逃げればいいのに、何で? リュウ君に見られると体が動かない。声も出せない。

でも、この状況はヤバいと私の頭の片隅で警告が鳴っている。

見つめ合っていたのは、時間にしたらきっとほんの数秒だったんだと思う。

そこからは、まるで映画のスクリーンを見ているような、自分であって自分ではないような…

「ユウ…」

リュウ君は私に向かって声を発するのと同時に片手がすぅっと伸びて来て、私の後頭部に手を回すと、グッと引き寄せ、そっとキスをした…。

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