不良ちっくLover


だけど、玉砕するのも早かった。

キミを見てから、キミの事ばかりを考えてたオレは、夢だと思いたい光景に出くわした。

ある日、コンビニにでも行こうかと玄関を出ると、ウチと隣の家の隙間から男女の話し声が聞こえて来た。

場所が場所なんで、気になって好奇心から覗いて見て…、オレは目の前が真っ暗になった。

家の隙間にいたのは、会いたかったキミと見知らぬ男で。

オレに気付かず抱き合っていて。

男の声で「ユウ」と。

キミが男の首に手を回し、「キスして」と言ってるのが聞こえて来た。

オレはそっとその場から離れた。

そっか。キミには彼氏がいたんだ。

その光景が頭から離れず、オレの頬には一筋の涙が流れていた。

… ・・・・・・・・・・・・・

「これがオレの初恋。驚いた?」

目の前にいるユウは顔が真っ赤だ。

「アレを見られてたなんて。恥ずかしすぎる」

「オレは今でもアイツに嫉妬してるよ。知らないヤツなのに可笑しいよな」

「ううん。私だってリュウ君と他の女の子が話してるだけで嫉妬するよ。それは普通の事だよ。

あの時の彼とは色々あって別れたんだ。今は何とも思ってないからね」

ぎゅっと抱きついて来るキミを見ると、オレは涙が出そうになった。

もう。オレのもんだからな。

リュウside end

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