BABY×DOLL
シャワーからあがって、寝間着を着る。

顔の手入れを簡単に済ませ、髪を乾かし終わると冷蔵庫から冷えたビールを一缶出した。

棚の奥にしまわれた古いアルバムを取り出し、私はビールを一口飲んだ。

…こんな写真、捨てちゃえばいいのよ。

見る度にそう思うのに、未練がましく捨てられずに何年も大事そうに持ち続けているアルバムには

数年前に私を捨てた母親の写真が収められている。

──見る度に悔しいし、悲しいし、苦しいし、大嫌いだと思うのに

捨てられない。


こんな母親、愛してない。こんな私は愛されなかった子供なのだから。


母親は18の時、シングルマザーで私を産んだ。

父親は知らない。

正確には『わからなかった』らしい。

その頃の母は不特定多数と身体の関係を持ち、今の私のように一度に多人数とのSEXもしていて

『父親はその中の誰かよ』

だと言われた事がある。

そのせいか、私は愛されない子供だった。
育児も放棄され、殆ど家に帰らない母親の代わりに私を育てたのは、おばあちゃん。

母はといえば男を取っ替え引っ替え。

たまに会えば嫌な事ばかり言う母親が大嫌いで、心の底から憎むようになっていった。
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