BABY×DOLL
'小夜と秋人は───

一夜だけの疑似愛だと知りながらも触れ合った。

秋人は年下だが女をその気にさせるのが巧みだ。

愛してもいない男と結婚して、愛してもいない男に処女を捧げるくらいなら

秋人に身を委ねたい────と小夜は思った。

疑似でも愛してる気がするから──それがいかに刹那的であったとしても

どんなに愚かな行為であったとしても

自由のない未来を思えば一夜の夢を見たっていいじゃないの…と。

古びた旅館に入り
少し緊張しながらも
再度、秋人とくちづけをした。

もちろん灯りはない。

しかし目を閉じても
彼の気の強そうな眼はしっかりと脳裏に焼き付いていた。

そして秋人は小夜を布団に押し倒し

あたしの首筋に舌を這わせた。'





──ドキドキが止まらない。

ドキン

ドキン

ドキン───

もちろん初めてなんだもん。

しかもキスだって人生二度目だった。

またもや人前で。

首筋に彼の唇が触れて舌でなぞるように舐められて…あたしは思わず声を出してしまった。

「ん…っ…」

あたしは自分でも驚いて、慌てて口を押さえようとした。

だけど彼がその手を抑えつけさらに続ける。
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