hiding
私は学校に行く。だって学校は私の居場所だから。引きこもる理由があるのは家だから。

学校では私は普通の人と変わりない。普通に喋って普通に笑う。そして、普通に恋もする。

私は友達にモンスターハンターの異名をつけられている。B専だとか趣味が悪いとか散々言われる。

それはしょうがないのだ。私はイケメンが苦手。私なんて、つり合うわけない。私はいつだって自信がないのに。目立つ事も嫌いなのに。隣に格好いい人がいたら萎縮しちゃう。

「薺菜は顔は良いんだからさ。ユルいけど」
「それどういう事?性格はどうなっちゃうの」
「性格?ん-、ユルい」

薺菜、というのは私の名前。花のナズナからとった、父がつけてくれたお気に入りの名前。顔も、父に似ていて良かったと思う。

「今度はモンスターじゃなくて人間を彼氏にすんのよ」
「今までも人間のつもりだったのに」

友達の菜々子はしっかりしていて私の頼れるお母さんみたいな存在。私とモンスターとの恋をよく聴いてくれている恋愛上級者。

「でもよくあんなのとキス出来るわよね」
「へ?キス?」
「ウソ?まさか薺菜って、キス…」
「したことないよ」
「ヤダ、原始人並みじゃん!!」

それもしょうがないのだ。やはりモンスターはモンスターなのだった。
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