hiding

winter love

冬が加速していた。木々は挙って葉を落とし、夜空では冷気で星がいつになく美しい。

そんな星が綺麗な寒い夜の事。私はある人物を呼び出していた。

いつか寝過ごした土手でその人を待つ。夜空を見ていると白い息が闇に吸い込まれていくのが見える。

「………よぉ」
「…橘君」

夜でも眩しい位にキラキラして格好いい彼に、一瞬面食らった。

夏祭り以来の再会で、こうして会うのは初めてだからなんとなく照れくさかった。

「あー、話って?」
「うん…長くなるから座って」

橘君が私の隣に座った。2人共夜空を見てるから顔が見えなくて話しやすい。

「…ごめんね。中1の時橘君が私を助けてくれたのにお礼も言わずに、逆に避けてしまって。

橘君を嫌いな訳じゃなくて。本当は、嬉しかったの。心強かった。ありがとう。

それと、夏祭りの時は本当にありがとう。花火、凄く綺麗だったよ。一緒に見たかった。

私、ね。変われた気がするの。少し自分を好きになれた。自分の殻から顔を出せた。

変われたら橘君とちゃんと話をしようって思ってたの。ちゃんとごめんねって、ありがとうって、伝えたかった」

私は一気に述べると真っ直ぐに橘君を見た。
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