着信音を待ちながら
その日の夜はちょっと落ち込んでた。

寂しくて、史くんにメールした。元気が欲しくて、明るいメールが欲しくて、精一杯テンションの高いメールを送った。

なのに…
何かあった?なんて聞いてくるから、つい愚痴を零してしまった。

《愚痴くらい聞くから、いつでもメールしてこいよ!》

《そんなこというと毎晩メールしちゃったりして》

《いいよ!毎晩でも》

なんでそんなに優しくするの?
また勘違いしちゃうじゃない。

《なんか今日はやさしいね…》

《いつも優しいじゃん》

《うん、そうだった!こんなおばさんにいつも優しくしてくれてありがと!》

《おばさんは綺麗だよ》

へっ?!
何言ってるの?

《ははっ、相変わらずお世辞が上手いね!》

《お世辞じゃない!》

私はもうなんて返信していいのか分からなくなった。

その時、また受信音。
《なんか、俺おばさんを口説いてるみたいじゃん。もう寝るわ》



史くんは勢いで変な方向にいっちゃった事に気がついて、気分悪くなっちゃったのかな。

けど、今夜の史くんはなんだか大人っぽくて、私があの子を初めて少し男として意識しちゃったんだよね。


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