青蝶夢 *Ⅰ*
「何て、奴だ
 信じられない・・・
 同じ男として恥ずかしい」

芳野は、義父の私への行為に
憤りを覚え、見る見るうちに
顔色が険しくなる。

秘色は、どれほどの悲しみ
辛さに耐えてきたのだろう。

幼い少女が受けた傷・・・

その傷を抉るように義父の
行為は繰り返される。

そんな彼女を、どん底から
救い出したのは、伊吹。

伊吹と、遠い昔に見た
青い蝶(花)の話をする
秘色。

それまで、感情を抑えるように
淡々と話していた彼女の声色が
変わり、暗かった表情がパッと
明るくなったのが見て取れた。
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