青蝶夢 *Ⅰ*
ただ、手を差し伸べてくれた人
が貴方だったから・・・

私は迷わず、その手に触れた。

彼は、スーツの袖を捲くり
腕時計を見た。

「今すぐ、この街を出よう
 まとめてある荷物を
 取ってくるだけだから
 
 この場所で
 動かずに待ってて」

私は、黙ったまま頷いた。

彼は、取り壊された一軒家の
後に立つ、マンション内へと
入って行った。

私は、彼に言われたまま
一歩も動かずに、この場所で
彼を待つ。
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