禁煙する倭ノ宮桔梗と泣き出さない〝たたりもっけ〟
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私は雑誌の編集者です。とはいえ、小さな地方出版社であり、発刊しているのも地方雑誌です。小規模会社なので社員の数は多くはありません。が、揃っているのはみなその筋のエキスパート。そうつまり、プロフェッショナルが集った少数精鋭派なのです……と言うと、私の気分も少し晴れます。なにせ、結構いろんな業務を兼任しているので、お給料以上の労働を強いられていますから。

「デスク! ガイシャのガン首取れました!」

「よくやったっ! すぐ記事に添付しろ!」

「はい!」

特に勘弁してほしいのは、たとえば、亡くなった方の写真を調達する仕事です。お悔やみを申し上げて申し上げて、頭を下げて頭を下げて、その上で時には詰られたりしながら、結局ご親族ではなく親戚の方から故人の写真を頂戴する仕事は、なにせ社員の少ない小会社――新人もベテランも関係なく回ってきます。

特に、この頃はその仕事が多いこと多いこと。ここ一ヶ月ばかりで、十歳前後の児童が惨殺されるという事件が頻発しているのです。
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