ガラスのタンポポ
「奏来」


兄貴が真っ直ぐ奏来を見つめる。


「聖ちゃん…。おばあちゃんはちゃんとお父さんの所に行けたかな…」


「あぁ、行けたさ。だから奏来はもう自由にしていいんだよ。奏来の思う通り、自由に。軽くなったはずだ。1人で歩けるよ。おばさんも俺も翔も、ちゃんと見守ってるから、1人で歩いてごらん」


「うん…。おばあちゃんはもういないんだね。車椅子、押さなくていいんだね。ソラは1人で歩かなきゃならないんだ、ね…」


「そうだよ。でも忘れちゃダメだ。つまづけば、転べばいつだって手を差し伸べられる俺達がいる。怖がる事はないさ。オトばあはおじさんの所へ行った、奏来に自由をくれた、それだけさ」


「うん…。聖ちゃん…」


何故、兄貴のように奏来に道標を与えてやれないんだろう。


悔やんでも、自分を責めても、唇を噛み締める事しかできない。


奏来。


何もしてやれなくて。


ゴメン、な………。
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