ACcess -操-
「ほら、こっちこっち!」
ふと気が付いて顔を上げる。
スカイが向こうの方で手招きしていた。
「なんだよー。」

手招きをする方に走っていった。
「ぼーっとしてたらまた迷子になるぞ。」
「スカイが呼んでくれるから大丈夫!」
「よし、分かった。もう呼ばねぇー。」
「えぇーっ!」


辿り着いた先はバザー広場と呼ばれる、ちょっとした場所だった。

まるで外国の路上裏のひしめき合う露店のようで、たくさんのアバター達が物を売り、買っていた。

雑誌で、バザーを行える場所があるとは見たが、想像を超える凄さだった。
「わ…すごーいっ!」
カラフルな道端に座っているアバター達が、様々なセールストークでアイテムを売っているのに圧倒された。

品物が目の前に並んでいるという訳ではなく、アイテムボックスを自分達の前に開き、物々交換または売り手が金額を示して欲しいものを買うという仕組みになっているようだ。

一人ではアイテムの持てる数に限りがあるので、何人かで場所をキープして売り出している。
「フライもバイヤーになってみたら?」
「…え?それは、売り手って事?」
「うん。シーフは他の職業に比べてアイテムボックスに入る数が多いんだよ。
 だからこういうのや、アイテム集めにフィールド出た時なんかに重宝するから…結構シーフっていい職業かもな。」

あれだけシーフを馬鹿にされていたのに、スカイに肯定された。
まぁ、やっぱりシーフで良かったのだろう。

しかし、心の中で思った言葉を聞き取ったのか、
「でも俺らで戦闘するのは不向きだと思うがな。」
簡単に否定された。
まぁいいじゃん、と言ったが腑に落ちないようだ。
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