【ND第1回】はじまりは君の隣で





「いってきます……」




珍しく寝坊しなかった。



いや、寝れなかったというほうが正しい。




学校に向かって、ポツリポツリと歩いていく。




「龍ちゃん〜今日はあたしと遊んでくれるぅ〜?」




「えー龍ちゃんはうちと遊ぶのよねぇ?」




龍之介の名前を呼ぶ甘ったるい声が聞こえてきて。




ハッと顔をあげると、2人の女の子を左右に引き連れて歩く龍之介がいた。




丁度、角から曲がってきた龍之介たちと鉢合わせになったんだ。




龍之介と目が合う。




なにか、言わなくちゃと口を開く。




「り、りゅ…」




「龍ちゃん?早く行こ〜よぉ」




でも、睫毛にたっぷりとマスカラをのせた女の子が龍之介を黒い瞳で見上げて、甘ったるい声を出す。




「あ、あぁ…」




龍之介もそれに頷いて。



なにもなかったかのように、去っていく。




ズキン。




嫌だ……




なにを、今さら傷ついているんだろう。





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