戦国に埋もれし儚き恋
「そうですか…おはようござます。何か私にご用でも?」
姫様の名前を聞いた瞬間に少し表情が柔らかくなった気がし、この人なら姫様を助けて下さるのではないかと思いました。
『はい』
息をのむ……
私はゆっくりと膝を付き、頭を下げる。
『お願い致します! 姫様を…どうか李由姫様を助けてあげてください』
「さ、沙菜さん?!」
躊躇うことなく膝を付いて私の顔を上げさせようとさせる巧哉様に縋(スガ)りつき
『姫様に外の世界を…少しでいいんです。見せてあげて下さい……でないと李由姫様は本当に一度も外の世界を見ることがなくなってしまわれるのです!』
「沙菜さん、私に出来ることならば力を貸します。ですから…お顔を上げてください。この姿を李由姫様に見られては私が姫様に怒られてしまいます」