ACcess -弥猛-

入ってすぐの位置で、彼女は特に何の反応を示すでもなく立っていたが、しばらくしてﾎﾟﾂﾘﾎﾟﾂﾘと話出した。
「…ｱﾅﾀは、何者なの？
　ｱﾀｼが、初心者だって…どうして分かるの？
　改造ｱｲﾃﾑだって…なんで？」

目を合わせようとしなかったから、こっちも特に目を合わせようと思いもしなかった。

側にあった本を拾い上げ、中をﾊﾟﾗﾊﾟﾗめくる。
「そんな事？
　そうね…初心者は雰囲気と、装備…動きで分かる。
　ﾁｰﾄ品はだいたい見て分かるし…初心者がこんなﾚﾍﾞﾙの高い物持ってたら怪しいわ。」
「…それだけ？」
「うーん…。他にもあるけど、そんな所。説明するのは苦手なのよ。」

見た感じ…というべきか。
本当にちょっとした違和感を感じるとほぼﾋﾞﾝｺﾞって事がよくある。

万引きＧﾒﾝや警察官達のような感覚なのかな？

彼女は少し首を傾げた。
「何となく、分かった。」
「ごめんなさいね。
　っていうか、貴方も座ったら？立ってても疲れるだけよ？」
席を勧めると、座らないと言った。

私は立ち上がって、彼女の肩を後ろから押しながら、強引に座らせた。
「立ち話も何でしょ？」
そう言って、飲み物も目の前に置いた。