兄貴と私の恋愛事情
第一章
ドキドキと男の子
春、そよそよ春風が気持ち良いこの季節。
私立青葉高校。
青葉は中高一貫高校であり毎年受験者が多い人気が高い学校。
そんな青葉の中等部を無事卒業し、私橘希魅は高校部に進学します。
…不本意ですが。
「希魅!」
「りーちゃん!」
勢いよく走ってきた人物をよろけながらも受け止める。
りーちゃんとは中等部で三年間一緒のクラスだった森岡利緒(モリオカ リオ)のこと。
大切な私の親友。
「希魅、やっぱ青葉にしたんだね!」
グサリ。
胸にりーちゃんの言葉が突き刺さった。
「りーちゃん、それ禁句…。」
そう、私は高等部に進学するつもりなんてこれっぽっちもなかった。
すべてあの男のせい。
あの男……
「高等部へようこそ、我が愛しの妹よ。」
私の兄、橘準太のせいなんだ。