蜜月 -love is ruffian-【BL】
「そういうの、いちいち相手にしてたらキリがないでしょ。だから彰那は馬鹿馬鹿言われちゃうんだよ」
だって……と何やらほざく高槻に、咲都は聞く耳を持たない。
そんな高槻を無視して、今度は俺の方に身体を向けた。
「兵藤くんは、自分の部屋に帰ろうね」
「……えっ!?」
咲都はにっこりと微笑むと、俺の腕をグイッと引いて歩き出した。
足元の鞄を慌てて手に取る。
俺の腕を引っ張る力が、意外にも強くって。
見た目がいくら綺麗で女の子のようでも、咲都はちゃんと男の子なんだよなぁ……。
腕を引かれながら、そう思った。
「顔、ニヤついてるよ」
「そ、そうか!?」
咲都は思い切り眉間に皺を寄せると、首を縦に振った。
知らなかった。
俺って案外、顔に出るタイプだったのか……。