アイスにキス、
「そんなモノいりません」
ぴしゃりと言い放つと、田口は苦笑した。
「あ、あはは!ですよね~!
いきなりすいませんでした…」
「そもそも、何故私に?」
「僕、女性の友人がいなくて…」
「そうですか。だから私に?
迷惑な話ですね。こんな時間に」
「すみません…」
「分かっているなら帰って頂けません?
私、こう見えて忙しいんで」
「(む、)では、失礼しました…
…おやすみなさい」
「おやすみなさい」
ぱたん。
ドアを閉めて鍵をかけると、呆れたような溜め息をついてベッドにダイブした。
室井閑香は隣人・田口透が大の苦手、寧ろ嫌いだ。
ドラマか漫画の主人公並の熱血さ、そして何かとおっせかいな所、感情を大切にする所…
閑香とは正反対な田口。
当然苦手意識が生まれた。
ああいうヤツと関わると面倒くさい、そう思う彼女はいつも、先程のような会話で素早く会話を終了させている。