Kill Love
ビルの最上階に、社長室がある。

社長室で2人っきりになるなり、彼は俺を見た。

「ずいぶん、怪しいのがいるんだな」

「検討はついていますので、ご安心を」

「まったく…。お前はよくやってくれるよ」

彼はカバンをソファに置き、社長用のイスに座った。

「で? いつ頃終わりそうなんだ?」

「今日中には必ず。なのであなたにはちゃんとスケジュールをこなしてもらわないと、困ります」

「なるほど。どうりで過密スケジュールなワケだ」

彼は肩を竦めると、俺の目を真っ直ぐに見て笑った。

「でもお前はちゃんとオレを守ってくれるんだろう?」

「当然です。俺以外に、誰があなたを全身全霊全力で守れると?」

そう言いつつ、メガネの位置を指で直した。

「そりゃ頼もしい」

彼の眼に宿る光は、決して良い輝きではない。

俺の言っている意味を、よく理解している眼だ。

「あなたのことは、俺が必ず守ります。誰にも傷付けさせませんし、殺されもしません」

「…頼りにしているぜ?」
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