Kill Love
車が入ると、幹部達が玄関で待っているのが見えた。

俺は先に降りて、彼のドアを開け、カバンを渡す。

「いよっ、おはようさん」

「おはようございます、社長」

社員達が次々と頭を下げ、挨拶をする中、俺は部下の1人に車のキーを渡した。

駐車場へはいつもの者に入れてもらう。

そして彼の後を歩きながらも、周囲に気を回す。

会社の中で何か不穏な動きがないか、感じ取る為に。

 チリッ…

わずかに肌が反応した。

彼の顔を見ると、俺を見て笑った。

彼も感じ取ったのだろう。

会社に流れる不穏な空気を。
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