Kill Love
「ではそろそろ行きましょうか。社長」

「おっ、そうだな」

意気揚々と出て行こうとした彼だが、ふと気付いてしまった。

「あっ、待ってください。社長、ネクタイ曲がっていますよ」

「ん?」

俺は素早くネクタイを直し、肩を軽く叩いた。

「鏡を最後に見ることを忘れないでくださいよ」

「悪い悪い。しっかしアレだなぁ」

彼がいきなりジッと見てきたので、居心地の悪さを感じた。

「なっ何ですか?」

「お前も大人になったもんだ。昔はネクタイも1人で結べなかったのに」

『昔』っ…!

「昔は昔です。そんな発言すると、年寄り臭くなりますから、やめた方がいいですよ」

「んがっ!?」

「それじゃ、行きますよ」

会話を打ち切るように、俺はドアを開けた。
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