防衛要塞都市
「……リー中尉、この都市は、彼ら“敵”を殲滅するために造られたんですよね?」


新人ならば必ず見せられる紹介VTRを見終わったセイルは、リー中尉と呼んだ男に尋ねた。


「ああ。でないと、下が攻撃され兼ねないからな。」


「だから、我々は命に代えてでも戦い続けなくてはならないんですね。」


黒い背景に白い文字が流れていくだけのエンディングを見ながら、セイルは続ける。


「……父さんのように。」


小さい、だが、感情の篭った声だった。


リーがセイルの顔を見ると同時にVTRが終わり、部屋は静寂と暗闇に満たされた。
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