ペットだなんて、言わないで


 ずっと繋いでいた手が汗ばんできたので、一瞬だが手を離すと、不安そうな顔でハルが俺を見上げる。


 こんな場所で一人にしちゃやだ――


 って言いたそうな顔をされ、なんか切なくなる。


「汗ふくだけだよ」


 ハルの汗を拭いてあげ、自分の手の汗も拭き終わると、ハルが待っていたとばかりにさっと手を繋ぐ。


「そんなに焦んなくても……ちゃんと繋ぐって」


 ぐるっとフロアを見て回ると、ハルに似合いそうな服を売ってる店が何店かあった。


 マネキンが着ているトータルコーディネートが、もろ‘ハル’って感じだ。

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