ペットだなんて、言わないで

「ハル……抱っこさせてくれる?」


 気が付いたら、そう言ってた。


 ハルは何も言わず、黙って俺の傍にきて、ぎゅぅってしがみついてきてくれた。


「ごめんな……」



 あぐらをかいた上にハルを乗せ、向かい合う形で抱きしめる。


 小さな小さなハルの体は、小刻みに震えていたんだ。

 背中を撫でてあげると、少しずつだが落ち着いてきている。


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