蜜林檎 *Ⅰ*
『そんな忙しい最中に
 時間を作ってでも
 話さなくてはいけない
 大切な話って
   
 いったい何だろう・・・』

杏は、この間の電話の件を
思い出す。
  
姉に気づかれたかもしれない
  
そう杏が報告した後
樹の声色が変わった。

その声は、杏を不安にさせる。
  
さっきまでの明るさは消え

杏は、黙って樹を見つめた。

「イツキ・・・
 大切な話って何?」
  
ご飯を食べる彼の手が止まり
箸を置く。

彼は、深い吐息をつく。
 
真剣な樹の眼差しに

杏の不安は最高潮になる。

樹は、ゆっくりとした

口調で話し出す。
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